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榎本恵牧師のコラム

2022/08/11

家と財産は先祖からの嗣業。賢い妻は主からいただくもの。   箴言19:14


それにしても大変なことが起こった。安倍晋三元総理の狙撃事件の衝撃は、今もあちこちでハレーションを起こしている。卑劣な犯行に及んだ犯人の背景が知れるにつれて、それがただ単に政治的テロなどではなく、カルト宗教と政治の癒着の問題であり、その教団から億の単位のお金をむしり取られた家庭崩壊した犯人に対する同情の声が少なからず、上がってきている。それにしても世界統一家庭連合(旧統一教会)が、こんなにも日本の政治中枢に深く浸透していたことに恐怖を感じるのは私だけではないだろう。

先日も、アメリカ人の友人から、久々にメールをもらったかと思うと、冒頭の挨拶に、「the tragic death of former President Shinzo Abe-what a painful loss his death to your country(安倍晋三元総理の悲惨な死ーあなたの国にとって彼を失ったことはどんなに痛ましいことでしょう)」などと書いてくれている。きっと彼女は、その総理大臣自らが、カルト教団の広告塔となり、自身の属する政党との間で、票のやり取りや選挙応援などが行われていたことを知らないのかもしれない。いやはや何をどう返事して良いものか思いあぐねている。けれども、ただ一つだけ、日本国民の半数の人が、彼の国葬に反対しているということだけは伝えようと思う。

40年ほど前、私が大学生の頃、学内でも「原理研」の活動が盛んになされ、「霊感商法」や「集団結婚式」など社会問題を数々引き起こしていた。また牧師の中には、統一教会から、信徒を救出するために尽力しておられた方が何人もいた。しかし、月日が経つとともに、私も含め多くの人は、その問題への関心が薄れて行ってしまっていった。全く己の不明を恥じるものである。 さらに言うなら、その集金(献金とは決して言えない)のえげつなさである。それは今回の犯人の母親が、その資産を全て教団に差し出し、自己破産し、家庭崩壊してもなお今も、その洗脳が解けぬまま、教団の側にいるらしいと言うことだ。なんとも恐ろしい話であるが、聞くところによると、日本人はその罪責のために、献金するのは当たり前、信徒の資産は調べ上げられ、借金させてまで奪い取ると言う。中でも、先祖の怨みや後悔を解くための「先祖解怨」なる儀式があり、一代から七代までの解怨は70万円、それ以降は7代ごとに3万円を払わなければならないらしい。しかも、430代前まで遡るの、先祖供養は、なんと石器時代の話にまで遡ることになる。そんな馬鹿馬鹿しいことが、宗教の名の下まことしやかに行われているのだ。

もちろん、我々は正統なキリスト教だなどと胸をはってはいるけれども、かつて宗教改革のきっかけとなった贖宥状を販売し、「チャリーンと硬貨が箱に落ちる時、魂が煉獄から跳ね上がる」など説教したことを忘れてはならないし、プロテスタント教会も含め、宗教は常にこの金銭の魔物との戦いであることを忘れてはならないだろう。

今月の箴言はこう言う「家と財産は先祖からの嗣業。賢い妻は主からいただくもの」(箴言19:14)と。

全て自分のものであると思っているものは、実は自分で得てきたものではない。財産も土地も、家族も。それらは皆、獲得したものではなく、与えられてきたものだ。私自身のものなど何もないのだ。全ては、託された大事な預かりも。だからこそ、私たちは、それを大事にしなければならない。それを、神に捧げるのは、感謝であっても、恐怖などではないのだ。闇の力は言葉巧みに言い寄ってくる。しかし、その時、それが本当に預かったものを大切に扱っていることなのかどうか、私たちは騙されてはいけない。

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