2020/01/31
正しい人の祈りは、大きな力があり、効果をもたらします。 ヤコブ5:16
昨年(2019年)2月14日、私たちは、アシュラムの先達、台湾の高俊明牧師を天に見送った。あの日からはや1年が過ぎようとしている。高牧師は、1970年から89年にかけ台湾基督長老教会の総幹事として働かれ、「人権宣言」を発表し、台湾民主化運動の先頭に立ち、1980年に逮捕投獄され、長い獄中生活を送り、台湾民主化後には、名誉回復と共に民進党政権下の外交顧問として働かれた。まさに「台湾の良心」であり、真の霊的指導者であった。
「4、3、2、1と覚えるといいですよ。」4年と3ヶ月21日。高牧師は、獄中での期間をこんな風にこともなげに教えてくださった。しかし、その言葉とは裏腹に、それは決して、簡単な易しいものではなかったことは、想像に難くない。4年あまりもの間、政治犯として捕らえられ、家族とも教会とも引き離され、いつ釈放されるかも分からぬまま、危険分子として獄中生活を送ることを余儀なくされる。その間、どんなにご家族は苦しみ、痛まれたことか。しかし、高牧師はその中にあっても、台湾の民衆を、教会を、そしてご家族を、1日に一枚しか出すことの許されなかった葉書を持って励まし続け、獄中にいる他の囚人たちに聖書のみ言葉を語り、国内外で支援する多くのクリスチャンたちには、主にある希望を示し続けてくださったのだ。まさにそれは、現代の使徒パウロと評しても過言ではないだろう。
初代教会の指導者たちも、主の名を信じ、それに従ったが故に、鞭打たれ、投獄され、殺害された。この世と妥協することをよしとせず、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません」(使徒5:29)の言葉通り、神の正義と神の国に純粋に従っていった数多の信仰の先達たち。このことは、口で言うほど簡単なものではない。しかし、だからといって、それは決して有ることの難しい「有り難い」話ではない。今この時も、そんなキリスト者たちがいる。そのことを、高牧師の「4、3、2、1」は私たちに教えてくれているのではないか。
高牧師は、台湾アシュラムのリーダーのお一人であった。アシュラム集会の中で、獄中での証しをされ、その間創世記から黙示録まで何度も聖書を通読し、日々祈り続けておられたことを力強くお話くださった。「祈りは必ず聞かれる。祈りには力がある。」こう語られた先生の背筋を真直ぐ伸ばした姿を忘れることはできない。
私たちのアシュラムセンターから出された榎本保郎牧師の説教集の前書きに、先生はこんな言葉を寄せてくださっている。
榎本保郎先生は言われました。『イエスさまでさえも、朝早く起きて神さまに祈られた。もっと言うならば、その祈りなしにイエスさまの活動というものはあり得なかった』。
祈りは力です。熱心に祈ることなくして、私達は上からの力・知恵・才能などに満たされることはありません。
聖書を読みながら祈り求めるのです。聖書に対する正しい理解を!
職場や家庭においてまじめに働きながら祈り求めるのです。より良く人々に仕えることが出来るように!
病院や施設で奉仕をしながら、祈り求めるのです。もっと思いやりがあるようになり、忍耐強くなることが出来るように!
私達は毎日祈りましょう。祈り続けましょう。私達のからだが聖霊の宮となって、イエスさまの愛と正義と謙遜を常に、私達の全存在をもって表現することが出来ますように、祈り求めましょう。
(高俊明牧師「アシュラムと私」より)
高牧師が、自身の信仰の拠り所として、また台湾のキリスト者にとっての重要な霊性として、私たちのアシュラム運動を大切にしてくださっていたことは誠に感謝なことである。私たちは、この先生の遺志を受け継ぎ、本当に「正しい人の祈りは、大きな力があり、効果をもたら」(ヤコブ5:16)すことを証ししていくものにならなければならない。高牧師召天1周年記念を前に私は心新たにしている。
榎本恵牧師のコラム
-
貧しい人と虐げる者とが出会う。主はどちらの目にも光を与えておられる。
(2023/07/31) -
水が顔を映すように、心は人を映す。
(2023/06/21) -
犬が自分の吐いたものに戻るように、愚か者は、自分の愚かさを繰り返す。
(2023/05/29)